平成18年9月市議会定例会齊藤市長所信表明演説

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ページ番号1002226  更新日 平成29年6月21日

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写真:議場での所信表明演説

このたび私は、市民の皆様の暖かいご支援をいただき、市長として今後4年間、熱海市政を担うことになりました。就任後初めての市議会定例会の開会に当たり、これからの市政運営について、議員の皆様、そして市民の皆様に私の基本姿勢をお示しして、ご理解とご協力をいただきたいと存じます。

我が国の経済は、回復しつつあると言われておりますが、観光地である熱海市においては、首都圏との格差は縮まらず、依然として景気回復は実感できておりません。多くの市民はこれからの生活に不安を感じながら毎日を過ごしているのが現状です。

昭和30年代後半から昭和40年代にかけて、熱海はその繁栄のピークを極めました。しかし、今日の熱海の様相は大きく様変わりしています。ここ1~2年、宿泊客は増加傾向にあるものの、観光客全体では、人口と同様に減少を続けています。一方で、閉鎖された旅館、市の借金は依然として増え続けている状況です。

熱海には美しい海と山、豊かな温泉、そして先人が残した文化と歴史などたくさんの宝があります。そうした財産を持ちながらなぜ熱海は衰退したのでしょうか。

私は今回の選挙戦を通じて、熱海に存在する「心の壁」がそうさせたのではないかと感じました。熱海生まれと転入者、市内中央部と他の地域といった地縁、血縁などによる、いわゆる「しがらみ」です。自分とそれ以外の人達を遠くに引き離すこのような「心の壁」は、これまで熱海で起きたさまざまな問題を是々非々でもって、オープンに議論することをよしとはしませんでした。もっと言えば、「自分だけが得をすればそれでよい」としていたきらいがあったのではないかと思います。
今回の選挙で、熱海出身ではないこの私が当選させていただいたのは、これまでのしがらみを断ち切り、新しい熱海の創造に向けてスタートを切ろうということを、市民の皆様の多くが、勇気を持って決断されたためであると考えております。
私は市民の皆様の「熱海を変えて欲しい」という大きな期待をしっかりと受け止めさせていただきます。まちが発展すれば、個人の生活も必ず良くなります。

私は先代が培った市政の蓄積を最大限に尊重しながら、行政を停滞させることなく、先入観のない、新鮮な目で市政の全てを見直していきます。その意味で私は今年を「熱海改革元年」と位置づけ、熱海の再生を目標に、市政の改革に全力で取り組んでいく所存です。

「熱海改革元年」における基本的政策として、以下の三点を掲げます。

まず第一点は、「効率的で開かれた市役所づくり」です。

残念ながら、市民と市役所の間にも大きな「心の壁」が存在しています。「市役所を身近に感じる」と胸を張って言える市民の方がどれほどいらっしゃるでしょうか。
私が目標としているのは「開かれた市政」です。
今回の選挙を通じて、行政が市民と直接向き合い、市民の皆様の声に謙虚に耳を傾け、それを市政に反映させることの大切さを痛感いたしました。
まずは情報公開を徹底します。市長の交際費の詳細はインターネットで公開するなど、「隠し事のない市役所」を目指し、市民の皆様からの信頼を高めます。
また、市民の皆様のご意見をしっかりとお聞きするため、定期的なタウンミーティングを行うとともに、郵便、ファクス、インターネットなどさまざまな方法を活用して、市民の皆様のご意見を市政に反映させます。
行政は「市民のためのサービス産業」です。市役所はもっと市民が利用しやすいものでなければなりません。まずは市役所の窓口業務の土日開庁に取り組みます。

次に、第二点は、「歩いて楽しい観光地づくり」です。

坂が多く車の多い熱海は、そぞろ歩きが楽しめる街とは言い難いのが現状です。車で来て車で帰る観光客は、国道沿いの観光スポットに立ち寄るだけです。ゆったりと街を歩かなければ、地元の商店街で飲食、買い物をする機会がありません。観光客が歩いて楽しい観光地、すなわちにぎわいのある、地元の商店の売り上げが伸びる街となることが重要です。
私はまず市民と市長が参画する、仮称ではありますが「まちづくり委員会」なるものを各地区ごとに設置して、観光資源の発掘と衣食住文化の情報収集・発信を行いたいと思います。また、このまちづくり委員会による「まちづくり基本構想」を定め、元気のある熱海を実現するための基盤づくりを行ないます。
次に、市内に数多くある観光スポット同士の連携を図るため、各地に「歩きたくなる熱海ルート」を作ります。歩道の整備を行い、景観に配慮し、必要な施設を配置します。
また、観光の専門家、市民、市役所職員など多様な人材によって観光戦略を検討するための「観光戦略室」を市役所に常設し、観光の長期及び短期の戦略を策定してまいります。

最後に第三点は、「住みたくなるまちづくり」です。

市民の皆様がこの熱海に自信と誇りを持ち、市民自身が住みたい、または首都圏などの方が「熱海に移り住みたい」と思える熱海にすることが重要です。住民にとって住みやすい魅力ある熱海にすることが観光客も集まり、熱海を再生する道であると考えております。
熱海市の人口は減少を続け、市内に職場がない若者は学校を卒業すると市外で就職してしまいます。先ほど、第二点として申し上げました「歩いて楽しい観光地」を実現することで、市内経済を活性化し、消費を拡大し、仕事を増やし、働く場所を増やすことが重要です。

首都圏から熱海への定住人口を増やすため、熱海体験プログラムを実施し、既に市役所内に設置された定住総合窓口をさらに充実してまいります。高齢者だけでなく、若い家族の定住促進には高い教育水準と子育ての環境が求められます。そのためにも小中一貫校の推進など教育環境を整備するとともに、学童保育の拡大など子育て支援を充実させます。
さらに、熱海市の豊かな温泉を活用した健康増進施策を進め、介護予防を図ることによって温泉を観光資源のみならず、市民の生活の質を向上させる手段としても活用してまいります。

また、リゾートマンションの建設が相次ぎ、乱開発の危険性が増大しておりますが、今まで積み上げてこられた条例などをもとに、長期的な景観形成のビジョンを定めてまいります。

さて、以上の三つの基本政策に加えて重要なのは、「財政再建」という視点です。熱海市の財政は多くの借金を抱え、市税収入が落ち込み、大変厳しい状況にあります。
このような状況の中で、熱海市が抱える大きなプロジェクトは、例えば新庁舎建設、熱海駅舎の改築、コースタルリゾート計画、景観規制など数多くあります。私は議員の皆様、市民の皆様、そして職員が長年にわたり積み上げてこられました経過と議論を最大限に尊重したうえで私の考えも申し上げ、財政的な制約も考えながら、さらに良いプロジェクトとなるように進めてまいります。
熱海市の再生のために必要な事業、そして市民の皆様の福祉の向上と安全・安心な街づくりは、今後積極的に取り組んでいかなければなりません。しかしながら、熱海市の財政の状況を考えますと、例えば一過性のイベントなどについてはその存続を見直す必要があります。また、補助金については、全メニューに対してその効果を評価し、補助金のメニューを整理していきます。これらのことを積極的に実行に移しながら、さらに行政のスリム化を図ってまいります。また、市長の退職金制度については、これを廃止いたします。

以上、市長就任にあたって4年間の所信の概略を述べさせていただきました。議員各位、市民の皆様、そして職員の皆様、これらすべての方々が「心の壁」を取り払い、是々非々の議論を行い、結論として出されたことを着実に実行に移せば、熱海は必ず再生します。私は市長として、その舵取りに自分の持てる全ての情熱とエネルギーを使って取り組むことをお約束します。

議員各位、そして市民の皆様、私に対する深いご理解と力強いご支援をよろしくお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

平成18年9月29日
熱海市長 齊藤 栄

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